いまはもう動かない

 電気屋から電話がかかってきた。
この前雨で濡れて死んだデジカメだけど、修理できないから受け取りにきてくださいって。
返されても困るよなぁ・・・とか思いながら、とりあえず取りに行った。
プチプチに包まれたうえ、ぴったりした小さい箱に入れられ、さらにそれがチャック付きの袋に入っていた。
無駄な厳重さが悲しい。花と棺おけと霊柩車みたいなもんか。
袋の中には紙が添えられていて、引換証の控えと一緒に、修理作業報告書というものが入っていた。
作業内容の広い欄には、「腐食がひどく修理できないためご返却いたします」との冷酷な文字。
その「ひどい」という言い回しが誇張なのか本当なのか気になったので、分解してみた。
意外にもプラスドライバーでサクサク外れる。表のカバーを取ったのが下の図。

開けた時、内側がすこし濡れているのに気付いた。
分解して念入りに調べたんなら蒸発するはずの量だ。
ぱっと見た感じも、僕の目にはひどい腐食があるとは思えなかった。
ムズいことは分からんが、開けずにひどい腐食判定が出たに違いない。
よく使う言い回しなんだろうな。
しょうがない。症状的にダメなもんはダメなんだろう。
ケース内側には、携帯に良くある浸水マーカーが付いてたんだけど、真っ赤に染まっていた。
まぁ、振ったら水出てくるぐらいだったしな。
あと、謎のQRコードが二つ貼ってあった。携帯で読み取ったら良かったけど思いつかんかった。
観察するだけして、ネジを全て締めなおして元に戻した。
最後にもう一度電源をつけたけど、相変わらずスイッチは入るけど何も写らない。
電池を抜いて、棺おけにしまう。
とそのとき、手が滑ってデジカメが床に落ちた。普通に拾い上げて片付けたあと、
今までなら全力で液晶のキズ確認とか、写りの確認とかしただろうな、と思った。
あんなに大切にしていたのになぁ。憎き雨だ。
だけどデジカメはそれ以上に俺を恨んでいるに違いない。
あまりにもしょーもない最後だった。ごめんデジカメ。


 さて、今日はリッツの見学に行った。みんな頑張っていた。
残念なことに外から見てると、走っている人のしんどさが全然分からん。
あと、カーブ中の自転車がすごく傾いているのが怖かった。
というか案の定たくさん落車していた。恐ろしいコースやで。