アンチ安定志向

 変化し続けることが生き残る唯一の手段であることは、ダーウィンが150年前に言っていたし、実際の自然もそうなっているのに、なんというか、今の日本は他の国と比べて、変化に対する貪欲さが無いような気がしてならない。別に他の国で暮らしたことはないし、明確な根拠もないんだけど、ニュースなんかを見てるかぎり、なんとなくそういう感じ。
 本能に従って、既存の安定したものや確固としたものにしがみついて安心しておくのは簡単だけど、この先「未来の分からなさ」がますます強くなって、そういう安定したものや確固としたものが無くなっていくとすれば、変化に貪欲でないというのは結構危険な気がする。これは考え過ぎかもしれないけれど、「分からない未来」が少ない人間、つまり、歳をとった人たちほど、最後まで本能に従っておける可能性が高くて、しかもそういう人たちが世の中を動かしているから、こういう変化を嫌う空気が形成されているんじゃないだろうか。最後まで本能に従っておける可能性の低い若い人たちは、こういう人たちと一緒になって、目先の安定を追う安易な空気に流されることで、将来馬鹿を見るかもしれないということを考慮に入れたほうかいいんじゃないだろうか。とりあえず、僕は自分が生きている間にこの世から「安定」という概念が消え去る方向に賭けようと思う。そのうえで、できるかぎり残された安定にしがみついておくか、最初から安定を前提に入れない生き方を選ぶか、じっくり考えなければならないと思う。