他人に否定されるのがこわい

 物事が上手くいかないとき、自分の非を認めたくないがゆえに他人や環境に責任をおしつけるのと、他人や環境を否定する勇気が無いがゆえに自分をひたすら責め立てるのと、どちらが卑しいことなんだろう。
 一般的には、自分のことを棚に上げて他人や環境を責める前者的態度は嫌われている。だから僕はいつも後者的態度をとるんだけれど、実はこちらの態度こそ「他人を否定することで自分が否定されるのが怖い」という感情と、「自分を前もって否定しておくことで他人からの否定を阻止する」という魂胆が見え隠れしていて、より卑屈な方法で自分の弱さを露呈しているような気もする。
 物事が上手くいかないとき、最もベストな方法は、両者の中間的態度、つまり、「自分と他人と環境をほどよく非難して満足する」という方法であると思う。しかし、僕は未だこのバランスを取ることに成功していない。
 そして今日もこうして自己を否定する文章を書いて満足してしまった。今の僕にとって、自分を否定することは、自分を肯定する唯一の手段である。これはとても苦しいはずなんだけど、同時にもっとも楽で安易な方法でもあって、そこから抜け出せない状況が非常にもどかしくもあり、病的であると思う。