修道院

 僕が今行っている研究所は「修道院」と呼ばれることがある。何もない場所にポツンと建物があって、そこに朝から晩まで篭り、生き物と対話をする感じが、修行僧みたいだからだ。確かに、研究をするうえでは良い環境であると思う。だけど、時々街に出たりすると、いかに自分が通っているところが異常な環境なのかを感じる。昼間から外を歩いている人がいること、しかもそれが名前の知らない人間で、男と女が半々でいることに凄く目が行ってしまう。世の中こんな楽しくて良いのかよ、って感じ。まさに研究の道を志すということは、出家するということであると思う。普段は見えないけど、色んなものを犠牲にしている。本当に出家した人もそんな感じのことを思うのかな。