領土問題のあれこれで思ったこと

 早い話が、教育で国民感情を扇動し、既成事実を作り上げて、実効支配したものが勝ち、なんだと思う。歴史は変わっていくものだから、過去の歴史より、これからの歴史のほうが優先されるのは自然の流れだ。いずれは新しい歴史も過去になって、次の歴史に塗り替えられる。そのこと自体が歴史なのだと思う。
 日本が過去の歴史でしか自論を正当化できないのはなぜか。それは国民の関心が低すぎるからだと思う。これは教育の問題もあるし、国民性の問題でもあるだろう。そのために、日本にとって、領土問題を「問題化」すること自体が難しい問題になっているような気もする。今回の北方領土のあれこれでのロシアの言い分は、「ロシアの大統領がロシアの土地を訪問して何が悪い」だ。この問題に対するロシアの立場を一言で言い表した、単純明快、異論無し(客観的立場から見て)の言い分だと思う。もし日本が、ロシアと同じように、「北方領土は日本の土地」だという意識を強く持っているなら、今回のようなケースに対して、北海道本土に侵入された場合に想定される措置(強制的に追い出すとか)と同等の措置をするべきだったと思う。なぜなら、それがこの問題に対する日本の基本的立場であり、少なくとも前提であるからだ。
 日中関係、日露関係が重要で、むやみに挑発しあって互いの利益を損なうことはすべきでないという言い分も分かる。だけど、細かい言い分は何であれ、問題に対する自分の「立場」すら維持できないならば、それはもはや問題では無い。模擬討論をするときだって、賛成と反対に分かれて、それぞれが自分の立場を前提にして話を進めるから議論ができるのであって、それが無ければただの言ったもん勝ちになってしまう。日本には、もはやこの問題を問題たらしめるだけのパワーが無いのではないかと感じてしまった。とはいえ、これは誰も悪くない。歴史なのだと思う(と言ってしまえば思考放棄になるのかな)。
 けど、ロシアは是非もう一度行ってみたい国だから、仲良くして欲しいけどね。