一度きりは一度きり

 小さな変化に幸せを見出せる人は幸せだ。極端な話だけど、食う分を新聞配達やレジ打ちのアルバイトで稼ぎながら、日常の中の小さな変化に楽しみを見出し続ける、という生き方ができればそれで幸せだと思うし、そういう生活が可能なくらい今の日本は豊かだ。一方で、そういうことができない、言い換えれば、小さな刺激では満足を感じられない人というのは「人生一度きりだと思っている度」が高いんだと思う。「一度きりなのだからできるところまで行ってみたい」と思うのは当然だし、自分もその気持ちは良く分かる。
 だけど面白いことに、どっちの生き方をしたって結局「人生一度きり」なんですよね。小さい変化に幸せを見出して生きている人だって一度きりの人生を歩んでいるわけで、その点においてはどんだけ「人生一度きりだと思っている度」が高い人と比べても、何の違いも無い。じゃあこの「人生一度きりだと思っている度」の正体ってなんだ?って考えると、これが良く分からない。なぜ人は小さな変化に満足できなくなってしまうのか。なぜ人はより多くの人に認められたいと思うのか。なぜ人は自分を厳しい環境におくことで成長したいと思うのだろうか。分からん。なんか人生一度きりだと思い過ぎないほうが楽な気がしてきた。生活が豊か過ぎるが故の贅沢な悩みですね。