バレーボールをした

僕は球技が苦手だ。
小学校ではフットベースボールで真っ先に補欠にされる役で、
中学校ではドッジボールで最後まで逃げ続ける役で
高校ではサッカーで「ボールが来たらパス以外考えるな」と言われる役だった。
体育で活躍できるのって、マット 跳び箱 縄跳び 持久走のときくらい。「ボール発明した奴誰だよ!」が口癖だった。


 だが最近になって、卓球 ソフトボール バレー バスケと、球技が人並みにプレーできるという現象が発生しだした。で、よく分からんけど、この現象は僕が大学に入って完璧主義の不完全性に気がついたことと関連しているんじゃないかと思うようになった。どういうことかというと、僕は高校まで、ボールを思い通りの方向に飛ばすには独特の感覚みたいなのが無いとダメで、自分はそれを感じたことがないから球技ができないのだと思っていたと言うことだ。例えば、サッカーでシュートを打てる人は、感覚が感じられたときは百発百中で思い通りのコースにボールを蹴りこむことができて、失敗するのはその感覚をつかめなかったときだけなのだと思っていた。
 今考えれば当たり前だけど、現実はそうでない。どんな一流の選手にも百発百中の完璧な感覚なんて存在しない。感覚があるか無いかの、on/offなのではなく、自分の中にある「もわもわした感覚」をなんとなくコントロールしながら、なんとなく上達していくのが球技なのだ。だが、完璧主義を崇拝していた高校までの僕は、このもわもわした感覚の存在を認めることができなかった。
 もしかすると僕は、できたかもしれない球技をできないと決めつけることで、損な体育の時間の過ごし方をしてしまったのかもしれない。