バイビー2010
昨年のちょうど今日に一年を振り返っていたので、今日も今年を振り返って一年の締めにしたい。というわけで、個人的に読み返していて、面白いなと思った今年の記事たち。
1月 自己矛盾という出発点
目が覚めて布団の中で考えたことが凄すぎて、外は雨だし寒いし、うじうじと布団の中で考えていたら、昼過ぎになってた。もういいかと思って今日は休んだ。昨日と同じ一日だし、同じ部屋にいるはずなのに、頭の中は全然違って、自分が別人みたいだった。外では60億を超える人間がいつも通り社会活動を繰り広げている一方で、カーテン閉めた部屋で一人でもの凄い思想宇宙を展開してた。今日は完全に自分が世界の中心だった。何を考えていたかというと、「自分は世の中を一通り疑い尽くしたのではないか」ということだ。
幸いにも今の日本では、何を信じるも何を疑うも個人の勝手だ。だけど、一つだけ絶対に疑ってはならないものがある。それは、自分を信じてくれる人間だ。上に書いたように、信じるという心には根拠が無い。だから本気を出せば、簡単に否定できる。でも、なぜか分からないけど、世界には根拠無く自分を信頼してくれる人間がいる。これはすごいことだ。
3月 遊ぶぞハゲが
勉強も今しかできないが、遊びも今しかできない。まだ遊ぶ時間を作れる身分だ。学生万歳。というわけで大学院生活でやってみたい遊び一覧(財源の確保できそうな順)
4月 科学は面白い
要するに、個々の人間は想像を超えて違っていて、客観なんてこの世に存在しないと言いたい。これまで僕は自然の客観性を思考のベースに置いていたけど、これもやめていきたい。自然が客観的かどうかを決めるのも個々の人間だからだ。自然が先にあるのでなく、人間が先になければならない。(これは無宗教の人間でないと到達できない境地ではないかと勝手に思っている)
5月 全ては人間が作る
既成事実とか既得権益とかいう言葉が面白い。じゃあ既成じゃない事実、既得じゃない権益ってなんだよ。持たざるもののしょうもない言い訳にしか聞こえない。そんな言い訳をしてる暇があったら、「事実は作るもの」「権益は得るもの」というのをさっさと受け入れてしまった方が幸せだ。
たしかに研究者は研究者で社会との繋がり(端的に言えば研究費の出処、例えば税金)をもっと意識していかなければならないが、社会の側も、「知的好奇心に突き動かされて真実に挑む人々」を長期的ではあるが社会に利益をもたらす財産としてもっと認知していかなければならないのではないだろうか。このまま科学と社会の溝が埋まらなければ、バランスの取れた人ほど将来を見越して研究者を諦め、残るのは本当の「専門馬鹿」だけになってしまうということもありうる。これでは本末転倒だ。
7月 人生楽しんだもの勝ち
「勉強は良い事」とか「働くのは良い事」とか、高校生までならそういうのを信じていても大体間違いはないと思うのだけれど、いつまでもそれにしがみついて、大人になっても自分をストイックに追い込み続けなければ生きていけないというのは間違いな気がする。
8月 やっぱし首都は桁が違う
東京は住みにくいが、人間との出会いという意味では最高の環境だと思う。
結局、言いたいことに、それっぽい解説を加えて、自信満々で発信した者勝ち、なのであり、相手が自分に言ってほしいと思っていることを言う人間が幅を利かせているんですよね。世界は思っていたのよりも大分チープだ。厳密だったり正直だったりするのは自己満足でしかない。
10月 根拠の無い自信
自信が無い理由は、「自信が無いから」であり、これだけでしかない。自信が無い人は「自信を打ち砕かれることが怖いから自信を持てない」のであり、そもそもそういう考え方が発生するのは「自信が無いから」なんだと思う。逆に初めから、「自信なんて根拠もないただの思い込みだ」と自覚していれば、それが打ち砕かれたってそんなに痛くないし、そういう態度自体が「根拠の無い自信」なのだと思う。
11月 バレーボールをした
だが最近になって、卓球 ソフトボール バレー バスケと、球技が人並みにプレーできるという現象が発生しだした。で、よく分からんけど、この現象は僕が大学に入って完璧主義の不完全性に気がついたことと関連しているんじゃないかと思うようになった。どういうことかというと、僕は高校まで、ボールを思い通りの方向に飛ばすには独特の感覚みたいなのが無いとダメで、自分はそれを感じたことがないから球技ができないのだと思っていたと言うことだ。
12月 「飲み会」なるものについて
最悪なのは、大して面白く無いくせに声だけでかい奴がノリで場をとりしきっていて、そいつが何か言ったら笑わなくてはならない、という雰囲気が形成されている場合だ。僕にとってこれほどつまらない飲み会は無い。
あと、今年最大のイベントはやっぱりロシアとモンゴルに行ったことだ。このとき感じたことは僕の人生観に一生影響を与え続けると思う。
総括
予想はしていたが、人生で最も濃密な一年であった。今年最大の成長は、「アンチ机上の空論」を徹底し、自然と目的を伴った具体的な思考をするようになったことだと思う。哲学的なレベルで物事を考える機会は減ってしまったが、代わりに意思決定の速度や精度は上がったように思う。おかげで、今年の最大目標であった、進学か就職か、という問いにも答えが出た。
結局就職活動をすることになったが、そこで「自分が22年生きてきた成果は一体なんなのか」という問いに、ニュートラルな視点に戻って考えるようになった。このことは今まで勉強量や学歴にカモフラージュされて見えなくなっていた自分の無力さを露わにしてくれたと同時に、自分がこれまで拠り所にしてきた価値観を炙り出してくれた。
大学院生というのは最も自由に思考ができる時期だと思う。莫大な借金と時間を投資して院生になったのに、結局専門外の分野で就職するなんて、馬鹿だと思われるかもしれない。だがやはり、この1年で考え、成長した量を考えると、僕には社会に出る前にこういう時間が必要だったのだと思う。
来年も大学院生として、精一杯考え、研究し、遊びたい。というわけで、来年の大目標。
- 自分の中でぶれない軸を見つけて、納得のいく進路を選択する
- 修士の研究を完成させ、論文を一流ジャーナルに投稿する
- 自分の小ささを徹底的に味わえるような、でかいスケールで旅をする
- 健康第一で健やかに過ごす
それでは、良い年をお迎えください。