政治に正解は無い

 一流の人間の集団であるはずの政治家が前進しない議論を繰り広げているのをみて、政治って茶番だよなーとか思ってたんだけど、実際にある集団の意見をとりまとめる仕事をしてみて、茶番せざるを得ない現実があるのだろうな、という感想だ。
 民主主義では、どんなに偏屈なアイデアでも、それを否定するためには、集団の意思を問う(直接民主制)か、集団の意思によって選ばれた代表の議論を通す(間接民主制)必要がある。色んな立場の人が集団にいれば、色んな意見が出る。そして、そのどれもが、意見した人にとってはそれなりに正当性のある論拠に基づいて提言されている。それを一つ一つ、まじめに審議し、一つの決断にまとめあげるのがどれだけ大変なことか。
 時には決まりきったことでも、「話し合った」という事実を作るために形式だけの議論を開かなければならないこともあるだろうし、逆に多くの意見が出されたときは、制限時間内に議論がまとまらず、「全意見を盛り込んでいるが、何も言っていない」という決議を出さざるを得ないこともたくさんあるだろう。そもそも、答えのある問題だったら最初から議論する必要ない。答えが無いから議論が必要なのであって、そこで出た結論は、どこまでいっても「同意」であって「正解」ではない。
 あー、政治って難しい。独裁のほうが行動も早いし、明確なビジョンができるから組織を上手く治められる可能性が高いと思うんだけどな。時代がそれを許してくれない。でも政治、面白いかもしれない。世の中を実際に動かしているのは、「正解」ではなく、「同意」だ。世の中を動かしている人の中には、頭がいい人だけでなく、声がでかいだけの人もたくさんいる。だけど、それが現実だ。でも僕はやっぱり、その現実の中で「正解」を考える生き方をしたい。