北海道B面堪能

北海道一人旅は綿密な計画の完全勝利に終わりました。

↑出発日は雪。中部空港に向かう途中の関が原で既にこんな感じ。このあと、こんな雪は誤差に思えてしまうくらい、とんでもない量の雪を見に行くことになる。

↑中部空港から女満別空港に到着。寒い!雪!氷!北海道上陸はたぶん8年ぶりくらい。真冬は初。

↑18切符の旅だったので、「最寄の」JR駅まで歩くことにしたらこんな道でした。

↑空港の最寄駅はなんと無人駅でした。

↑そしてこのありさま。そしてちょうど電車が出た直後でした。これだから同じ飛行機に乗ってた人達はみんなバスやタクシーだったんだな。

↑しょーがねーので駅の周りをぶらぶらすることにしたら、いきなり見たことのない標識を発見。なんですかこれ。

↑川も凍る寒さ。携帯やカメラの電池がみるみる消耗していき、ビニール製のバッグはカチカチになってしまう。

↑分かったのは、徒歩で移動できる距離では景色が変わらん、ってこと。

↑で、無事電車に乗り網走駅に到着。4時にはもう暗い。

↑街の中も雪まみれ。って思ってんだんだけど、この後、こんな雪は鼻糞だったことを思い知らされることに。

↑4桁とかあんのか。さすが。

↑でまぁ、ケチ旅行なんで、格安ビジネスホテルでスーパーの惣菜です。一人で自由で好きなもん食って、いいんですかこんな楽しくて。冬なのでホテルも暇そうで、貸切状態の大浴場で放心したあと、部屋に戻ったら幸せすぎて一瞬で眠りについた。

↑次の日は18切符で旭川まで移動。途中北見駅で乗り換えだったんだけど、この日の北見の朝の気温は-15.7度!が、電車の中があまりにも暖かくて体がぽかぽかだったので、あまり寒さは感じなかった。よく言われるけど、北海道は外が寒すぎるぶん、暖房がしっかりしているので、普段生活している分には本州よりも寒さを感じる場面は少ない、というのが今回の感想。

↑北見から旭川に向かう途中で大雪に。石狩山地を越えるのだけれど、もはやレールが完全に埋没。脱線すんじゃね?とか思ったけど、お構い無しに電車は爆走して、雪煙を上げながら山道を越えていった。都会では数センチの雪で交通が麻痺するというのに。

↑で、旭川に。地面と雪の区別がない世界。

↑今回の旅は「リアルな冬の北海道を味わう」ことに主眼を置いていたので、観光地糞くらえ(まぁそもそもやってない観光地がほとんどなんだけど)の心持で行ったのだけど、まぁここだけは有名すぎるし行っとくか、ってことで旭山動物園

昼なのにこの気温。

↑極寒の世界でしか見られない、本気を出すシロクマ。

↑ペンギンも本気。海遊館のガラス越し冷凍庫ペンギンがかわいそう!

↑お前はさすがに寒いだろ。

↑こんなにモフモフしてておとなしそうなのに猛禽類、ってのがギャップ萌え。

サル山ではほぼ全てのサルが一心不乱に雪を掻き分けて何かを食ってた。全員超必死だった。

↑動物園から帰るバス。センターラインも停止線もない世界で走り回るガリガリに凍りついた車たち。別世界過ぎて日本語が存在していることに違和感を感じるレベルだった。ロシアだろこれ。しかしまさかこの後もっとすごい場所に行くことになろうとは。

旭川市街を散策。さすがに道内2番目の都市だけあってでかいです。衝撃だったのが、道行く人たちが関西とかの人と変わらない格好で歩いていたこと。-10度でスカートとか死ぬだろ。なんか僕一人「登山かよ」みたいな格好で歩き回ってたんで観光客丸出しな感じだった。ここではバスを待つのにも電車を待つのにも暖かい待合室があるし、待ち合わせもみんな建物の中。あと、年寄りは頻繁にタクシーを使う文化のようだった。つまり、野外に長時間いるという状況が存在しないような仕組みになっているので、通常装備でやっていけるということらしい。確かに、店の中にいると登山装備は暑くてしょうがなかった。けどやっぱり、外を長時間歩くんなら登山装備でも寒いよ。

↑本屋で北海道ラーメンの雑誌を立ち読みし、最も近くにあった店へ直行。これはかなり美味かった。山頭火ってとこです。

↑で、同じくビジネスホテルに泊まり、翌朝のテレビ。意味の分からない数字が並んでいた。部屋の窓が凍り付いてた。部屋の中は暑かった。

↑18切符で稚内へ。なんと旭川から稚内行きの普通電車があるのです。新快速播州赤穂敦賀行きもびっくりじゃないでしょうか。乗った電車は、バスがレールの上を走っているみたいな一両ディーゼル車で、当然単線なんで、そこらじゅうで特急待ち。時間感覚を忘れるのにちょうどいいわ。写真は待っていた特急が雪を掻き分けて入ってくるとこです。

↑中の人はぬくぬくしてるだけだけど、電車はこんなに頑張ってます。

↑最果てにつきました。

↑まずは電車の中でスマートフォンを使ってみつけた、「青い鳥」という稚内ラーメンを食す。お吸い物かよってくらい透明なスープなんだけど、味はしっかりしていておいしかった。美味しい塩ラーメンを初めて食べたかもしれない。

↑そして街に出るととてつもない雪。街が埋もれる!除雪が追いついてなくて、そこらじゅうで除雪車が動き回ってて、雪かきをしている人がいた。この世界では、人々の生活の時間の多くが雪かきに費やされているし、除雪だけでも相当な雇用と経済効果(損失?)を生み出していると思う。思い通りに行かない自然と共存するここの生活と、すべてが効率化され思い通りに行くことが期待される東京の生活と、どっちが幸せなんだろ、とか考えた。東京嫌いだからね。

↑今回の旅で唯一みた二輪がこれ。さすがとしか言いようがない。後輪にチェーン巻いてありました。

稚内港からはなんと夏季限定でサハリン便が出ています。そんなわけで街中にはいたるところにロシア語が。ロシア人っぽい人も何人か目撃。ちなみにモンゴル・ロシアで得たキリル文字解読スキルを応用したところ、この看板は「大王ラーメン」ってことが言いたいらしい。でも本当にこの辺りって、ロシアだったとしてもおかしくないわけで、歴史的な経緯で日本が支配していたというだけで、今、日本語が通じ、円が使え、日本人が歩いていて、日本のチェーン店がはびこってる。サハリンが日本の領土だったら、同じような光景がサハリンでも見られたのだろう。普段とは別世界の雪景色も相まって、「なぜここが日本なのか」「ここで日本語が通じるのはすごいことなのではないか」みたいなことを考えた。日本の文化の浸透力の強さと、国境の影響力を感じた。

↑屋根つきの防波堤。観光地らしいけど、こんな吹雪の日に人なんかいるはずなく。どこに行っても地元の人に「こんな時期に何しに来たんね」っていわれて返答に困る。正直に「雪国のリアルを見にきたんです」っていうと「はぁ」みたいな。ところで、この幻想的な風景に浸っていたところ、携帯にメールが着信したので確認したら、書類の締め切りが早まったから早く出せ、という先生からのメールで、一気に現実に引き戻されて萎えるというイベントが発生。これだからスマートフォンは。適当に返事してすぐに風景に戻ったけどね。

↑そして翌朝。前の晩からの吹雪が止み、一番の懸念事項だった利尻島への船の出航が決定!

↑レンタカー借りて島を一周ですよ。

↑もちろん四駆

↑もちろんスタッドレス。冬道運転は少し不安があったものの、雪がたくさん降ってくれたおかげで、凍結路はほとんどなくて雪道がメインで、普通に走る分には全く問題がなかった。意図して滑らせるとやっぱり滑るのだけど、「無茶だな」って思うことをしなければまず危険なことは無いというのが今回の感想。凍結路だとそうはいかないと思う。

↑天国みたいな場所

↑ひたすら海沿いを走る

↑お隣、礼文島。海抜0mから真っ白。

↑ロシアっぽい、カラフルでゴツい感じの家が結構多い。

↑夏ならバイクとレンタカーで埋め尽くされるのだろうな、って場所も、今は誰もいない。そもそも、除雪されてないので入れない。生活道路すら除雪が間に合ってないのに、観光客しか使わない道や駐車場を除雪してくれるわけがない。言い換えると、除雪してある道=みんなが使う道なので、なかなか車を停める場所がなくてとても困った。

↑なので、見晴らしのよい展望台なんかにいこうとすると、こういう目に遭わなきゃたどりつかんわけです。

↑まぁ、たどりついたところでこうなってるわけですが。

利尻富士の頂上は拝めず。が、雪の予報だったところで晴れ間が見えただけで相当な健闘と思われる。日ごろの行いがよかったに違いない。

↑飽きねー、ってことで二周目。

↑アザラシスポットらしいけど、残念ながらこの日はいなかった。せっかく雪まみれになりながらたどり着いたのに。ちなみに気温が低すぎて服が雪まみれになっても全然溶けなくてサラサラのままで、叩けば全部落ちていきます。

↑ここも観光地らしいけど・・・雪漕ぎはもう疲れたので諦めた。完全にオフシーズンだ。この島では僕以外の観光客は一人も見なかった。

↑そのあと天気が悪くなってきたのだけど、まぁなんとか帰りの船も出て、無事稚内に戻りました。

↑んで、夜行バスで札幌に移動。しかし早朝の札幌で降ろされても、寒いし行くトコないし、ホンマ困った。

↑とりあえず街中をブラブラ。北見より旭川より、この日の札幌が一番寒かった。多分、夜行バスでぐっすり寝てて寝起きだったので体温が低かったことと、朝早すぎてどこにもシェルターがなく、歩き続けなければならなかったからだと思う。凍えながらとにかく歩きまくる。

↑そら寒いわ。

↑北大に行ってみたけど、何も無いし、寒い。

↑寒すぎたのでとりあえず電車に乗ることにした。で、適当にこの駅で降りてみた。

↑日本中の国道沿いで展開されている糞つまらない風景がここにもありました。

↑帰りの飛行機まで中途半端に時間が余ったので、札幌市を一望する展望台に金を払うことにした。

↑さすが200万都市!そしてここにきて、全ての写真に黒い点が写っていたことに気がついたのでした。レンズの内側を吹いたら直ったけど、かなり凹んだ。あとは普通に新千歳→関空で無事帰還。


というわけでまぁ、極寒体験欲、雪国体験欲、雪道運転欲、旅行欲、カメラ欲、一人欲、現実逃避欲、時間浪費欲、ラーメン欲、利尻欲などなど、様々な欲望を無事予定通り、全て満たすことができました。やっぱ旅は一人に限るよ。景色や人の暮らしをみて感じることが旅の本体だと思うから、人と行くと色々見過ごしてしまいそうで怖い。人と行って思い出をシェアするのも楽しいことだとは思うけれども、それはあくまでその人との思い出作りを目的とした外出であって、旅ではないと思うのです。