奨学金の免除申請落ちた

 全く何が「奨学金」だい。「学資ローン」って言え。これで来年から400万円の借金持ち確定です。相対評価からしょうがない。世の中は投稿論文の数が全てだ。僕には論文が無い。他の奴には論文があった。だから落ちた。これ以上平等な評価方法が無いからしょうがないし納得する。
 でも、一つ言わせて欲しい。僕の研究成果は2年間地道にデータを取り続けたからこそのものだ。ある珍しい細菌の発生が毎年起こるということを、卒論半ばから2年間、毎月毎月現場に通って地道にサンプルを採集し続け、2年連続で同じパターンが見られたことでようやく立証できたものだ。それに、この研究は、アイデアから実行まで全てゼロから自分で行ったものだ。
 僕は申請に通った人が誰かは知らないし、どんな論文を書いていたのかは知らない。だけどもし、こっちが毎月毎月グラフの点が一つずつ追加されるのを見ている間に数日で終わる室内実験で得られたデータで論文を書いていたとしたら?しかもそのアイデアが先生のものだったとしたら?悔しすぎる。
 じゃあもし僕が、1年目のデータだけで蓋然性の低い議論をして論文を出していたら200万円免除されていたのか?僕はこの細菌を効果的に検出するためにある工夫をしていて、その手法の話は今書いている論文に組み込まれているのだけど、じゃあもし、その手法の話だけ分けて、一つの短報にして小さいジャーナルに投稿していたら200万円免除されていたのか?そうだとすれば、それが正義なのか?まとまりのある充実した論文を書くことよりも、何が何でも一報出すことが研究者として正解だったのだろうか?
 残念ながら答えは多分イエスだった。研究者は何もかもが論文の数で評価される。それは、自分自身ものすごくよく理解していることだし、意識し続けてきたことでもある。文句は無い。本当に無い。でもそれだけに、文句が言えないだけに、今回の結果は本当に残念に思う。