ミスるのが怖い


マッターホルンを望む@Riffelberg

 人生6度目の引っ越し。物件探しも慣れたもので、物件検索サイトの条件絞り込み機能・お気に入り機能・新着アラート機能を駆使して今回はサクサクと決めることができた。引越しに限らず、結婚だったり車や保険の購入だったり、人生に数回しかないライフイベントでは必ずこちらの経験の浅さに付け込んで業者がぼったくってくるけど、引越しに関してはこちらももはや素人ではないので、前の物件では退去立ち合いで騙し取られた2万円を契約書を根拠にして取り返したし、今回の引っ越しでも仲介業者や引越し業者と強気に交渉して納得のいく金額で契約できた。それでもなお、後になって調べてみるともっと削れた予算があったり、無駄な情報を調べることに時間を使ってしまっていたりしていて、次の引っ越しに向けて改善できそうなことはある。本当に引越しというのは面倒で、金がかかって、交渉ばかりで心が疲れる。
 そんな引越しの準備をしていると、毎度のことながら、懐かしいものが発掘されて手を止めて読み込んでしまうのだけれど、高校や大学受験、就職活動で自分がやってきた事の記録を改めて見直してみて、自分は本当にここまでミスのない人生を歩んできて、そのために物凄い努力をしてきたのだなと感心する。それを可能にしてくれた環境や周囲の人々の支えがなければ今の自分はあり得なかったのも事実だけど、これまでの自分の途方もない努力が無ければ今の自分があり得なかったのも事実だと思う。会社を辞めて研究に戻ってきてからの3年も、結局今振り返ってみると、自分の思い通りの方向に物事を進めて成果を出し、やるべきことをミスなく実現してこれたように思う。本当に上出来だと思うし、頑張ったと思う。だけどここまでミスなく来れたからといって、この先安心できるというわけではない。今の僕はやっぱり不安で、自分がやっていることがこの先思い描いているような成果にちゃんと繋がるのかどうか、全く自信が無い。そして3年後や5年後にどこで何をやっているのか、あても無いし、想像もできない。だからこれからもミスらないように気をつけないといけない。そのためにできるのは、これからもひたすら目の前の事を、自分のベストを尽くして必死にやり続けることだけだ。一体そのゴールはどこなのだろう。世の中のスピードがますます速くなって、生き残りをかけた戦いがますます激しくなっていく中で、安心して「あとはのんびり余生を送って死ぬだけだ」と言えるような時が僕に来ることは、ずっと無いような気がしている。まぁ、それならそれで、そのつもりで死ぬまで必死に生きていればいいので、それでいい(というか、そもそも生物には「余生」なんてものはなく、生き残れなくなったら死ぬだけで、それが普通だ)。あとはとにかく心身健康であってほしい。僕は体が不自由になったとたんに、精神的にもおかしくなってしまう気がしていて、とにかく健康を損なうことが怖い。だから、結局健康第一なのだと思う。死ぬ寸前まで健康に生き残ることができれば、それがゴールで、満足だ。ちゃんと食べて寝て運動して、必死に頑張る。それを淡々と続けていく以上にできることはない。これからもミスれない。ミスるのが怖い。