拝金ババア

 この前、百円ショップで客のババアが店員にキレてた。目的の商品が置いてなかったらしい。
 よく店で「客>店員」という構図を見るけど、僕には違和感がある。客と店は本来、「お金」と「商品(あるいはサービス)」という等価のものを交換する、対等な立場のはずだ。だから、店が商品を提供する替わりにお金をもらえることに感謝するのはもちろん、客の側も、お金を払う「だけ」で商品が手に入ることに感謝しなければならないと思う。ある商品が企画され、作られ、運ばれ、売られるまでの間に、凄まじい数の人間が人生を削って働いている。一方で客はそれをレジに持っていき、お金を払うだけで手に入れることができる。これは凄いシステムだ。他人の労働によって自分が便利な生活を送れていることに感謝しなければならないと思う。
 百円ショップで怒鳴ってたババアはその凄さと恐ろしさを考えたことが無いに違いない。目の前の商品がなぜ100円で手に入るのか考えたことが無いに違いない。怒鳴っている相手の店員が働くしんどさとか考えたことないに違いない。お金が大好きなんだろう。ただ、もしかすると、僕よりも2倍以上長く生きていることを考えると、様々な思考錯誤のうえで積極的に拝金主義に行き着いた人だったのかもしれないね。
 

 世の中の動きが拝金主義なのは疑いようがない。「安ければ安いほどいい」てのは誰だって思うし、それに答えようとすると値段は0になるまで下がるだろう。心の底から他人の労働に価値をおいている人はほとんどいないだろうからだ。つまり、残念ながら「金>労働」なんだと思う。でも僕は、別に損するわけでもないし、偽善でも自己陶酔でも自己欺瞞でも何でもいいから、人間っぽさを演じて、労働している人に感謝したらいいんじゃないかと思う。誰も労働に感謝しない世界では誰も得をしない気がする。