人間すげぇな

 東京から帰ってきました。地震のときはインターン先の会社にいてあまり情報がなかったのだけれど、ホテルに戻ってテレビをつけたらちょうどビニールハウスが津波に飲み込まれるところを放送していて、そこで初めて今回の出来事のヤバさを知った。大自然と不確実性の前に人間は無力だと思った。都心の交通麻痺具合も凄くて、電車がいかに効率よく人間を運んでいるのかがよく分かった。
 その一方で、次の日には、電車が次々と復旧し、渋滞はみるみる減っていき、人々は次々と家に帰り、コンビ二にも商品が戻ってきていて、自然がめちゃくちゃにしたものをもの凄い勢いで元に戻していこうとする人間のパワーを感じずにはいられなかった。
 しかし、東北はまだまだ大変そうだ。現場で被害にあった人たちはもちろん、現場に駆けつける人たちや意思決定を任される人たちも、不眠不休かつ精神崩壊状態に違いない。想像できない。


 さて、5日間のインターンが終わった。仕事は大変だったが、とても面白かった。
 僕がコンサルに興味を持ったきっかけは、研究生活を通じて、「世の中は理屈でなく感情で動いている」と思ったことだ。どれだけ理屈で正しいことを言ったって、それに納得する人が現れなければ価値は生まれないし、それを信頼してくれる人がいなければ実行されない。つまり、意思決定の最終決定権は常に感情が握っている。
 だから、どれだけ学問で理屈を突き詰めたって、その成果は結局「感情」という『研究者から見ればしょうもない』要因によって価値を決められてしまう。それでありながら、科学は、感情の存在しない世界を仮定していて、感情の存在を極限まで排除することを要求してくる。要するに、感情が世界の本体なのに、感情を無いことにするのが科学だということだ。僕はその矛盾がどうしても気持ち悪いと思ってしまう。
 だから、感情を含めた世の中の全ての物事を複合的に考えなければならないコンサル・シンクタンクの仕事は、一番世界の本質に迫ることができる魅力的な仕事ではないかと思っている。今回のインターンでは、それを身をもって感じることができた。5日間、自分を可能な限り客観的な位置に置き、できるだけ広く、深く、そして中立に考えていくことが求められ続けた。これはとても大変だったが、楽しい作業だった。


 あと、今回のインターンで印象に残った社員の言葉をいくつか。

  • 会社にとって金儲けは「責任」であり、「手段」でも「目的」でもない。
  • インフラの充実具合、会社や人間の集中具合を考えると、仕事的にも環境的にも東京は世界で最も効率の良い街である
  • 間違っていると思ったことでも、絶対にそれが存在している理由がある
  • 睡眠時間は気の持ちよう。本当に追い込まれると、連日3時間でも意外にいける

他にもここには書けない過激な話をたくさん聞かせてもらった。やっぱりベンチャーはぶっ飛んだ人が多くて面白い。社内の雰囲気もフリーダムで、研究室みたいだった。そして「すげぇ」と思う人ばかりだった。ああなれたら、ああいう人と働けたら楽しいに違いない。
 今週の後半からは外資コンサルのインターンが始まる。給料6桁、しかも一泊一万のホテルに泊まれる。こんな待遇を受けることはもしかすると二度とないかもしれない。そして仕事はさらに大変だという噂。いろいろ面白そうで超楽しみ。