小さい生き物はおもしろい

院試の関係で生物の分類を勉強している。
分類学は、「物事をカテゴライズする」という、人間の認知の根本に関わる部分を、
いかに体系的に表すか、という挑戦の歴史だと思う。


「どれだけ違えば別種にするのか」「どのくらいの違いがどの階級の違いに相当するか」
「どのような順番で種が分岐してきたのか」
・・・どれも実験で確かめることはできない。


 分子生物学的な方法によって、「塩基配列記号の違い」という、
デジタルな情報が利用可能になり、かなり尤もらしい分類が可能になってきたけど、
それでも100%の答えは永久に見つからない。
チャレンジングでとても面白い分野だと思う。
一方、お金にならない、と言われればそこで終わってしまう学問でもある。


細菌、植物、動物などを含めた全生物を階層別に
分類したときの人間の位置を整理してみる。
()は同じ階層に存在する分類の数。


真核生物(3)-オピストコンタ(3)-動物界(2)-左右相称動物(4)-新口動物(2)-
脊索動物(3)-脊椎動物(3)-顎口類(2)-哺乳類(7)-真獣類(2)-正獣類(2)-
真主齧上目(4)-霊長目(5)-真猿亜目(2)-狭鼻下目(2)-ヒト上科(2)-
ヒト科(3)-ヒト(1)


単純な理解としては、生物界には、
「動物」でくくられるものと同じぐらいのカテゴリーが、2*3*3=18カテゴリー、
「哺乳類」でくくられるものと同じぐらいのカテゴリーが
7*2*3*3*2*4*2*3*3=18144カテゴリーあるということだ。
もちろん、「動物」は割と大きいくくりなので、実際はこれより少ないと思うけど。


 この分類にしたがって生物を平等に眺めるなら、
これまでの知識はあまりにも、大きな(目に見える)生き物に偏りすぎだ。
そして神秘的な事に、この全生物が、DNAという共通の拡張子で情報を保存している。
今、遺伝子技術の発展により、凄い勢いで、
今までの理解の何倍もの多様性が顕微鏡サイズの世界には広がっていることが分かってきている。
やっぱ小さい生き物っておもろいわ。