生き残ることが第一目的にならないと生き残れない

 だめだ。これ以上真剣に考えるとホントに脳が崩壊する。


 論文では他人の論文を引用しながら自分の論理を組み立てていかなくてはならない。だけど、人間には「自分の考えを肯定する情報にばかり注目してしまう」というバイアスがある。だから、あえて自分の考え方とは違うことを言っている論文を探す。そうすると簡単に自分の考えを反証する情報が見つかる。反証されてしまったものはもはや科学的情報ではない。だから、結局何も言えなくなる。
 これは一つには、僕の研究が、まだ統一見解のない最先端の分野(あるいは、人類の役に立たなさ過ぎて研究の進んでいない分野)のものであるからだと思う。これはしょうがない。だけど、僕に言わせれば、この分野には「複雑なことを知るために複雑な実験をして、複雑な結果を載せている」論文が多すぎる。真実に近づくためには、もっと簡単で地道な、やるべきことがたくさんあるはずだ。だけど現実、そういう地道なのは研究費がとれないから、実体の無い学説を戦わせてごまかしているだけなのではないか?「真実を知る科学」より「生き残ることに特化した科学」のほうが生き残っているのは自然すぎること。「生き残ることが第一目的にならないと生き残れない」というのは生物界の基本だ。もしかすると基礎科学(いわゆる「役に立たない」研究)ってもう崩壊してるんじゃないだろうか。
 根本の問題は、世の中にはまだ非実力主義的なところが残っているのに、科学界だけ実力主義を真面目にやりすぎなことだ。金もない、時間もない、で研究に打ち込んで、未来もない、それでいて、真実を追究するヒマまでないとか終わってる。まさに意味不明の活動だ。


 勢いでいろいろ吐いたけど、要は完璧な論文なんかかけるわけないってことが言いたい。ましてや、一年ちょっと勉強した人間が書けるわけない。「適当さ」を採用しよう。これしかない。これ以上真剣考えるとホントに脳が崩壊する。