最近の頭の中
誰しもが「やりたいことを仕事にしたい」と思う。僕も人生の落ち着きどころは、「やりたいことで稼げている状況」だと思っているし、そのためにこれまで色々試行錯誤してきた。だけど、仕事ってのは大体やりたいこととは違うし、やりたいことってのは大体仕事にならない。そんなわけで色々頭の中を整理していたら、こんな感じになった。
仕事ってのは、「需要があるかどうか」と「やりたいことかどうか」の2軸で分類できるという考え方だ。
たとえば「つまらないけど儲かる仕事」は右下に分類される。これは、世の中的には需要があって、金は回ってくるんだけど、自分がやりたいこととは違うという、需要ベースで発生する作業だ。「生きるため、金を稼ぐために仕事をする」という状況もここに当てはまる。
一方で、「やりたいことなんだけど、お金にするのは難しい」というのは左上に分類される。これは、楽しくていくらでもやれるんだけど、需要がないのでお金にならないという、モチベーションベースで発生する仕事だ。本当に儲からないものは「趣味」と言ってしまってもいいと思う。
で、ポイントなのは、理想の状態である、右上の「やりたいことと儲かることが合致している」方向に持っていくためには、出発点が前者か後者かで方法が違ってくるという点だ。前者の場合は、「今の仕事に少しでもやりがいを見出し、楽しく感じられるように工夫する」というのが解決策になる(図の1)。一方で後者の場合は、「自分のやりたいことに世の中を注目させて需要を生み出す」という手段が必要になる(図の2)。感覚的には、多くの人は1のアプローチを目指していて、2のほうが(起業したりして)ある程度世の中に働きかけていかなければならない分、難易度の高い方法だと思う。
で、「人生の理想状態に近づいていくために。このどっちのアプローチをとっていくべきか」っていうのが、人生中盤に差し掛かりつつある最近の悩み。より具体的なものをこの図に載せると、以下のような感じになる。
今自分がいるのが、右下の「会社の世界」だ。ここは金回りが良くて、将来も安泰なんだけど、お金をもらっている分、どうしても、やりたいことより需要に応えることのほうが重要になってくる世界だ。今の仕事、まったく楽しくないわけでは決してないけど、まだ「人生をささげる」に値するやりたいことには出会えていないというのが正直なところだ。理想の状態に自分をもっていくためには、前述の1のアプローチをとる必要がある。つまり、早いとこ今の仕事に生きがいをみつけていかなければならない。
(ちなみにもっと金回りが良くてもっと需要ベースの世界となると、金融業界みたいなところになると思うけど、金を回すために金を回している感じがしてどうしても僕は好きになれない。これを好きになれれば高収入で楽しい仕事ができていいのかもしれないけど。)
一方、「会社の世界」とは対比されるのが、左上の「研究の世界」になる。ここは僕が大学でやっていた基礎研究の世界をイメージしているのだけど、ここは本当にやっていて楽しかった。やりたい研究をやりたいようにやっていて、毎日が夢にあふれモチベーションベースだった。だけど、それは趣味と紙一重で、自分がいくら面白くったってそれを買ってくれる人がいなければ生きてはいけない。食っていくためには厳しい競争を勝ち抜かなければならないし、儲けるためには少しでも自分の研究を社会に求めてもらえるよう、2のアプローチ、つまり世の中への発信を積極的にしていかなければならない世界だ。
(もっと理想を言えば、本当の趣味(魚釣りとか)を仕事にできればいいんだけど、まぁそれを儲かるレベルに持っていくのは大変すぎるので、ジジイになってからでいいですわ。)
そういうわけで、目下の悩みは、「やりたいことで儲ける」状態に近づくために1のルートか2のルートか、どちらをとるべきか、ということだ。より端的に言えば、このまま会社の世界からアプローチを目指すか、研究の世界に戻ってそこからアタックをかけるかの選択だ。肝心なのは、この選択を悩めるのは若いうちだけで、今後歳をとるとどんどん鞍替えが難しくなるということだ。放っておくと会社の世界から出られなくなるのは目に見えている。20代独身の間に機動力を活かして最適な登山口を見つけておかないと、右上に到達する道は急速に閉ざされていってしまう気がする。人生中盤に差し掛かった感がこわい。