手段としての自己分析メソッド

 本屋の就活コーナーで幅を利かせているのが自己分析教だ。自己分析という文字がゲシュタルト崩壊を起こすくらい、たくさんの自己分析本が本棚にならんでいる。それだけ自己分析という精神活動に対する就活生の信仰心が高いということなのだろうけど、自己分析は手段であって、目的ではない。
 一体なぜ自己分析が必要なのか。それは、志望動機を明確にするために他ならない。

自己の構成要素は何か

 自己分析をするにあたっては、まず「分析するもの」を定義しなければならない。自己を自己たらしめているものは一体何なのか。自分を他人と交換不可能な存在たらしめているものの正体は一体なんなのだろうか。色々考えた結果、「個性」は以下の3要素に分解できるという結論に至った。

  • 興味 (何がしたいか)・・・自分が純粋に楽しいと思うこと
  • 性格 (どういう考え方か)・・・自分が大切だと思うこと
  • 能力 (何ができるのか)・・・自分にしかできないと思うこと

まずは列挙する

 まずは今挙げた3つの要素に対し、想像力を働かせて思いつくことを列挙する。「自分は接客がしたい」とか「自分は正義感がある」とか「自分は世間話が上手い」とか。このとき重要なのは、それぞれポジティブな面だけでなく、ネガティブな面も列挙することだ。つまり、自分がしたくないこと、重要でないと思うこと、自分が苦手だと思うことも列挙していくことだ。これが第一段階だ。
 だが、ただ列挙するだけならサルでもできる。次にすべきは、思いついたそれぞれの項目を、自分の過去の経験に照らし合わせて検証し、掘り下げていくことだ。

自己分析のための過去分析

 自己分析メソッド本を読んでいると、「自分史」なるものの作成が有効だと書いてある。一生懸命「自分史」の作成方法が説明してあって気持ちが悪い。こんなんに時間を費やす奴はアホだ。確かに、過去の自分を振り返ることは自己分析に必要だ。だが、これもまた、手段であって、目的ではない。緻密に自分を振り返って自分史を作成したって、得られるのは自己満足だけだ。先述したように、過去分析の目的は、思いつきで列挙した項目を掘り下げていくことにある。具体的には、「根拠」と「具体例」の二つが過去分析の目標だ。
 例えば、「自分はプレゼン能力に優れている」と思っていて、それを過去分析によって掘り下げるとする。このとき、「根拠」として見るべき過去は、「どのような経験が今の自分を形成しているのか」という点であり、例えば、自分の考え方が上手く伝えられず悔しい思いをした経験や、プレゼンの上手い人を見て感動した経験などが考えられる。一方で、「具体例」として見るべき過去は、「自分の個性が活かされた過去の経験は何か」、つまり、実際に自分が人を動かせた経験や、学会発表での受賞経験などが挙げられる。
 この二つの視点を伴うことで、第一段階で列挙したそれぞれの項目に関して説得力がでてくる。逆に言えば、第一段階で挙げられた項目であっても、過去分析で上手く掘り下げられない場合は、それは自分の思い込みに過ぎなかったということに気がつくことができる。

手段としての自己分析が出来ていれば志望動機は自然に出てくる

 以上のことがきちんと出来ていれば、自然と自分の中で「軸」ができてきて、自信を伴って自分の道を選択できるようになるはずだ。最初に書いたように、自己分析はあくまで手段であり、その目標は志望動機の明確化だ。この目的を伴っていないと、「一体自分は何がしたいのか」という思考が頭の中で堂々巡りを起こしてしまい、無益な時間を費やすことになる。自己分析は所詮、行きたい場所を選ぶために自分の良いところ悪いところを列挙する作業に過ぎない。
 

自己分析は志望動機作成における必要十分条件である

 志望動機を構築するには自己分析以外の手法はありえない。もっと言うと、試験勉強と場慣れ以外に就活で必要なのは自己分析だけだと思う。自己分析を完璧にこなし、それでも落選してしまったのなら、それは自分の興味、性格、能力のいずれかがその会社の求めるものと合致しなかったということで諦めるしかない。そのレベルまで自分について考え抜くことが、これから4月までに僕がすべきことだ。

まとめ

 就活において、自己分析は目的ではなく、志望動機を明確にするための手段である。その目標は、自分の良い面悪い面を列挙することである。その際、自分の個性を興味、性格、能力の3つの要素に分解すると考えやすい。さらに過去分析を通じ、それぞれの項目に関しその根拠と具体例を挙げることで、説得力をもたせることができる。以上の工程を丁寧かつ完璧にこなせば、自信を持って自分の進路を選択できるようになるはずである。


 なんか最近就活ネタばかりですね。あと、パワポ使うようになったのはスタイリッシュなスライドを短時間で作る能力を鍛えるためです。一番難しいのは色使いだ。